その日ご来店されたのは、70代くらいのご夫婦でした。
お買い物の中心は奥様。
この日は、奥様のジーンズを探しに来られたお二人。ご主人は付き添いでした。
奥様にジーンズを数着ご紹介しているとき、奥様がご主人にこう言われました。
「あなたも何か履いてみたら?」
そんなひと言から、ご主人もパンツを見ることに...。
あまり、乗り気ではなかったご主人ですが、お話をしていくと、
「履くなら36インチくらいかな」
「夏に履けるものがいい」
など、少しずつ条件が見えてきました。
朝礼で聞いた、あのパンツなら
そこで私の頭に浮かんだのが、その日の朝礼で情報共有してもらったルーズテーパードパンツ。
「同じシリーズの夏用なら、ちょうどいいかも!」
そう思い、実際にお見せしました。
ところが、ご主人は
「こんなシルエット、履いたことがない……。」と少し不安なご様子。
そこで、夏用なので通気性がいいことを実際に触って確かめていただいたり、ネイビーなら爽やかな印象になることをお伝えしました。
そんなお話をしているうち、、奥様が試着している待ち時間に、「せっかくだから」という感じで試していただくことになりました。
そして試着室から出てくると——
「あれ?似合う。いいじゃないの。」
奥様も絶賛!!
口数の少ないご主人でしたが、気に入っていただけたことは、表情から伝わってきました。
最初は「こんなシルエット、履いたことがない」と不安そうだった一着。
でも、実際に履いてみることで、それまで選択肢になかったパンツが「いいかも」に変わりました。
今日の試着室で感じたこと
服との出会いは、「欲しい」と思って探し始めたときだけに起こるわけではありません。
奥様の何気ない「あなたも履いてみたら?」がなければ、このパンツを手に取ることもなかったかもしれない。
そして、ご主人が「履いたことがないから」と試着をしなければ、自分に似合うことにも気づかなかったかもしれない。
自分では選ばない一着に出会えること。
それも、試着の面白さなのだと思います。
そんな思いがけない出会いのお手伝いができることも、販売員という仕事の面白さなのかもしれません。


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