店内をご覧になっていた10代の娘さんと40代のお母様。
短丈のTシャツを探されているようだったので、お声を掛けてみました。
すると、お母様がこう話してくださいました。
「短丈でフィット感のあるTシャツを探しているんです。」
娘さんは、同じ館で購入したばかりの黒のワイドパンツに合わせるTシャツを探されていました。
まずは、ご希望に合わせて短丈Tシャツを2枚ご試着いただきました。
先ほど購入されたばかりの黒のワイドパンツも履いていただき、全身のバランスを鏡でみていただきましたが、どこかしっくりこないご様子。
「うーん...。」
そんな表情が印象に残りました。
さらに、お店で見つけてくださった赤いタンクトップも気に入ってくださり、「これを少し見せて着たい」とお話しされていました。
でも、Tシャツを重ねると、せっかくの赤があまり見えません。
どうしたら、お客様が思い描いているコーディネートになるのだろう…。
ご試着を重ねる中で、お母様が娘さんに聞こえないよう、小さな声で教えてくださいました。
「ガタイがしっかりしているから、できるだけ細く見せたいらしいです。」
その一言で、私の中で接客の視点が変わりました。
探しているのは「短丈Tシャツ」だけれど、本当に叶えたいことは「華奢に見えること」なんだ。
そう思い、Tシャツだけではなく、かぎ編みニットカーディガンやジレなどもご提案しました。
その中で選んでいただいたのが、黒のかぎ編みニットカーディガン。
赤いタンクトップが自然に見え、無理に裾を引っ張って見せる必要もありません。
ほどよい透け感が軽さを演出し、全体のシルエットもすっきり見えました。
鏡を見た娘さんは、
「これならいい!」
と笑顔に。
その瞬間、私も思わずうれしくなりました。
お客様が探していたのは、一枚のTシャツではなく、「こんな自分になれたらいいな」という気持ちだったのかもしれません。
試着室は、そんな想いに出会える場所なのだと、あらためて感じた一日でした。
今日の試着室で感じたこと
接客をしていると、お客様は「こんな服が欲しい」と話してくださることがあります。
でも、その言葉の奥には、「こんなふうに見られたい」「こんな自分になりたい」という、本当の願いが隠れていることがあります。
今回も、「短丈Tシャツが欲しい」という言葉だけを受け取っていたら、このコーディネートにはたどり着けなかったかもしれません。
試着室は、服を試す場所であると同時に、お客様の「なりたい自分」を一緒に探す場所でもある。
そんなことを改めて感じた一日でした。
🌿編集後記
この仕事をしていると、「何を探していますか?」と聞くことは多いですが、本当に大切なのは、その先にある「どうなりたいですか?」なのかもしれません。
お客様の笑顔を見るたびに、服には人を前向きにしてくれる力があると感じます。
今日も、その笑顔に私自身が元気をもらいました。


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