販売員ノート|ベテラン販売員でも朝イチの声掛けは緊張する。接客で気づいた『思い込み』

販売員ノート

販売員を長くやっていても、いまだに緊張する瞬間があります。

それが、

朝イチ、最初のお客様への声掛けです(笑)。

とくに休み明けの朝は、ゼロからのスタート……

前日はこんなお客様が多かった、こんな商品がよく動いた——。

朝礼でそんな話を聞いていても、いざ売場に立ってみると、その日のテンポや雰囲気をつかむまでには少し時間がかかります。

なぜなら、お客様の流れは毎日まったく違うから。

そして、朝イチに来店されるお客様は、大きく分けると2つのタイプがいるように感じています。

ひとつは、

「今日はこれを買う」

と、目的を決めてすばやく買物をされる方。

そしてもうひとつは、館に入ったばかりで、

「とりあえず、ちょっと見てみようかな」

と回遊されている方。

私の感覚では、朝イチは後者のお客様が多いです。

まだ買い物のスイッチが入っていないお客様にとっては、販売員から声を掛けられること自体が煩わしい場合もあります。

だからこそ、朝イチのファーストアプローチは難しい。

長く販売員をしている私でも、

「今、声を掛けて大丈夫かな?」

と、ちょっと緊張するんです。

「声を掛けられるの、嫌かな?」

その日、朝イチに来店されたのは、鮮やかな髪色が印象的な若い女性でした。

お一人で店内を見られていたので、まずはファーストアプローチ。

ところが、なんとなくかわされたような印象でした。

「もしかして、あまり声を掛けられたくない方かな?」

見た目の印象もあいまって、私の中に少しそんな気持ちが出てきました。

そこで、いったん離れて、そっと見守ることに。

しばらくすると、そのお客様が最初に見ていたシャツのゾーンに戻ってこられました。

今度は、近くにあるカットソーも触っています。

そして、そのシャツやカットソーは、私自身も好きなシリーズ。

朝イチでまだ自分自身も万全ではなく、少し緊張していたはずなのに——。

好きな商品を見てくださっているのが嬉しくて、気がつけば自然に声を掛けていました。

「このカットソー、私も先日買っちゃいましたー!かわいいですよね♡
もしかして、このシリーズ、以前のものとか持ってたりしますか?」

完全に前のめりです(笑)。

すると、

「持ってますよー。私は虎のシャツを買いました!」

と、とても気さくに答えてくださいました。

「あれ?めちゃくちゃ話してくれる(笑)」

そこから、一気に会話の間口が広がりました。

最初に見ていた新作の虎柄シャツを羽織っていただくと、とてもお似合いで、まず1枚目が決定。

さらに、私がその日履いていたカーブジーンズをコーディネートでご提案しました。

淡色ブルーとピンク。

どちらも気に入ってくださり、なんと2色とも候補に。

さらにインナーとしてバンドTシャツもご提案すると、こちらも気に入ってくださいました。

結果、ご提案したアイテムをすべて購入してくださいました。

最初は、

「一人で見たい方なのかな」

と思っていたのに、実際は気に入ったものが見つかれば、サクサクとお買い物されるタイプだったようです。

「このタイプは……」また決めつけそうになった

そして、その日のもう一組のお客様。

少し強面に見える男性と、一緒に来店されていた女性でした。

一度お店を見てくださっていたのは確認していましたが、いつの間にか姿が見えなくなっていました。

しばらくすると、またお二人で戻ってこられました。

白いTシャツを選んでくださり、そのあとジーンズコーナーで二人一緒にスリムテーパードパンツを見られています。

そこで、

「もしかして、白Tに合わせてパンツ見られていますか?」

とお声を掛けました。

すると女性が、

「そうなんです。フィットしたジーンズがいいかなと思って」

と答えてくださいました。

どうやら男性のお買い物なのですが、彼女の希望もありそうです。

そこで、お二人といろいろお話をしていくことに。

男性の希望は、

「濃い色のジーンズがいい」

あるいは、

「黒以外のパンツでもいい」

ということでした。

そこで1本目は、ご希望どおりの濃い色のジーンズ。

そして2本目は、私からグレーのスリムパンツをご提案しました。

話してみると、最初の印象とはまったく違いました。

男性はどこかかわいらしい雰囲気もあって、彼女もとても話しやすい。

その後、パックTも2点選んでくださり、さらに彼女もワイドパンツを購入してくださいました。

気がつけば、このお二人が、

その日一番のセット購入をしてくださったお客様になっていました。

ベテランになるほど「経験」が先入観になることもある

この日の接客を振り返って、ちょっと反省しました。

人は見た目じゃない。

そんなこと、販売員を長くしていれば分かっているはずなのに。

「若い一人のお客様だから、あまり声を掛けられたくないかもしれない」

「ちょっと強面だし、このタイプのお客様は……」

そんなふうに、無意識にお客様を判断しそうになっていました。

もちろん販売員にとって、お客様の様子を見ながら、

「今は声を掛けないほうがいいかな」

「もう少し見守ろう」

と考えることは必要です。

でも、長く販売をしていると、これまでの経験から、

「このタイプのお客様は、きっとこう」

と予測してしまうこともあります。

経験があるからこそできる判断もある。

でも、その経験が、ときには先入観になってしまうこともあるのかもしれません。

この日は、二組のお客様に私の予想をきれいにひっくり返されました(笑)。

結局、声を掛けてみないと分からない

話したい方なのか。

一人でゆっくり見たい方なのか。

じっくり悩んで買う方なのか。

気に入ったらサクサク決める方なのか。

結局、接客してみないと分からないことがたくさんあります。

そしてもうひとつ、この日、自分自身について気づいたことがあります。

朝イチ、

「最初のお客様、どう声を掛けよう」

とあれだけ緊張していたのに、

自分の好きな商品をお客様が見てくださった瞬間、

「これ、私も好きなんです!」

という気持ちが先に出て、自然に声を掛けていました。

「これ、かわいいですよね」
「これ、伝えたいな」

そんな気持ちから、自然に接客に入れることもある。

ベテラン販売員でも、朝イチの声掛けは緊張します(笑)。

そして、長く販売をしていても、知らず知らずのうちに先入観を持ってしまうこともあります。

だからこそ、

「このタイプのお客様は……」で終わらず、もう一度、目の前のお客様を見る。

そんな当たり前だけれど大切なことを、改めて気づかせてもらった一日でした。

この記事を書いた人

こんにちは。

アパレル販売員として働きながら、「服のたしなみ」を運営しています。

お客様が鏡の前で「これ、いいかも!」と笑顔になる瞬間が大好きです。

休日は音楽フェスや古着屋さん巡りを楽しんでいます。知らなかった音楽や新しい服との出会いが、自分の世界を広げてくれる時間が好きです。

このブログでは、販売員として感じたことや、試着室で生まれた小さな物語をお届けしています。
「似合う服がわからない」「新しい服に挑戦してみたい」

そんな方や、接客をもっと楽しみたい販売員の皆さんにとって、小さなヒントや勇気につながる場所になれたら嬉しいです。

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